法律のいろは

親の自宅不動産を遺産分割協議の際に取得する場合の注意点(その②代償分割と注意点)

2019年12月5日 更新 

 親が亡くなった際の相続では,遺言が存在しなければ遺産分割協議をすることになります。その際に,ご兄弟・姉妹など相続人になる方がいないのであれば,おひとりですべて引き継ぐので問題はありませんが,いる場合には当然に引き継ぐことはできません。遺産分割協議(家庭裁判での手続きであれば調停など)によって決めることになりますが,法律で定める相続分で取り分を持っていますから,単独で自宅不動産を取得することを希望する場合には,他の財産での取り分で調整をするか・ご自身でお金を兄弟姉妹などの相続人に支払うことで,果たすことになります。

 

 他の財産で調整を図ることができない場合には,お金を支払う(代償分割)必要がありますが他の相続人からすれば,支払いの確実性が低いのにそうした分割方法は受け入れにくいという可能性があります。家庭裁判所での手続きでも,こうした分割方法については特別な事情が法律上要求されていますので,支払いの確実性がご自身であることを示す必要があります。裁判例上は,こうした特別な事情として取得を希望する方の支払い能力があることであるとされていますから,特に裁判所の手続きであれば,単に希望をするだけではなく,支払いの算段をきちんとしておく必要があります。

 

 支払いの方法としては分割払いがありえますが,自宅の土地建物の金額が高額な場合には回数が多いものや頭金がないものは拒否を他の相続人から受ける可能性もありえますし,支払い能力があるかどうかという点が問題になることもありうるでしょう。支払い能力があることを示す資料としては,現金や預金があることを示す資料(預金であれば残高証明書などが考えられます)・銀行などで融資を受けるのであれば,その見込みの証明書・他の財産を売却するのであれば,その契約書や見積もり資料などが考えられます。もちろん,これらで十分なのかはお互いの信頼関係によるところがあります。現金や預金があることを示す資料にしても後で解約その他お金を動かされては意味がありません。仮に代理人弁護士がいる場合には,その預り金口座に入金をしてもらうという方法もありますが,その後に委任契約解除をされると同じ問題が出てきます。

 不信が大きな場合には相手の財産に対する仮差押え(審判前の保全処分)を行うことも考えられますが,そもそも代償分割に至る蓋然性が高くないと難しいですし,相手が一応の資料を示している際に保全処分を行うh実用性が認められるのかという問題もあります。そもそも,裁判所に求められる予納金の負担もあります。

 支払いの確保手段として,支払いをしてもらう側としては一度相続登記を行ったうえであれば,代償金の支払いと引き換えに名義移転を行う(不動産の取得を希望する側への名義移転)に応じるという形でで決着をさせるという方法があります。支払う側にとっても,これであれば支払うことになるだろうお金を払えば名義移転をすることができるので,そもそもの支払い能力に問題がない場合には受け入れはそこまでハードルはないように思われます。いずれにしても,お金の支払い確保への疑いがある場面では相続人の間での対立が大きいものと想定されますので,支払い能力確保のための方法などについては細かく調整していく必要があるでしょう。

 

 強く自宅の土地建物を希望される場合には,ご自身もその自宅に長く住んでおられるケースも十分ありうるかと思われますので,こうした点の見通しを立てておく必要があります。自宅の土地建物にについては,現物で分けることは考えにくいので,代償となるお金を支払うことで取得することが難しい場合には,売却して代金を清算する可能性が出てきます。この場合には,生活している家がなくなる可能性もありえますので,注意が必要です。生活をなされていた場合には,他の要件にもよりますが,相続税が課税される場合には小規模宅地の特例を活用できる場合もありえます。この場合には,対象となる不動案について遺産分割が成立していること・他にも対象となりうる不動産がある場合には相続人がその不動産を対象とすることや対象にする面積などについて同意をしていることが必要になります。こうしたケースでは相続税の申告やその際に遺産分割が成立したこと(成立まで時間がかかる場合には,3年以内に遺産分割が成立見込みであることなど)の書類の提出も必要になります。

 課税される場合には代償金として支払った部分は相続税の課税対象から外されます支払いを受けた側にその部分が課税対象となりうるものとして加わります。

 

 今述べた話は,遺言が存在しない場合でかつご自身のお金の余裕がない場合には相当問題がありますので,遺言を書いてもらえるのかどうか・お金の面の見通しなどをあらかじめ気を付けておいた方がいいでしょう。トラブルは財産が多くある場合に起こるという印象もあるところですが,こうした自宅土地建物以外にあまり財産がない場合も相当起こるリスクがありうるので,なおさらと言えます。

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