法律のいろは

相続放棄をしたけれども,遺産が手元にある場合どうすればいいでしょうか?

2020年1月3日 更新 

 亡くなった方について,財産があるけれども引継ぎをしたくない場合・負債が多い場合に,自らが財産や負債を引き継がないようにするための方法としては相続放棄があります。相続放棄についてはいつでもできるわけではなく期間制限があることや財産の処分などをしてしまうと,できなくなるという話は別のコラムで触れました。

 

 相続放棄自体は家庭裁判所に「申述手続き」と呼ばれる相続放棄の申し立てをして受理されれば終了します。これによってそもそも相続人でないことになりますので,相続財産を引き継ぐ権限もありませんが,負債も引き継ぎません。財産が価値がないわりに管理が難しいものが残っている場合があります。次の順位の相続人(亡くなった方の子供や配偶者が相続放棄をすると,その親・親が亡くなっている,相続放棄をさらにした場合には亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります)に財産があれば引き継ぐ必要が出てきます。この引継ぎまでにご自身が何も管理や取得する権限がなければ放っておけばというとそうではありません。法律上管理義務が課されており(管理義務は軽減するとされていますが,それでも相当の負担があります),監理をする必要が出てきます。例えば,ボロボロになった家屋が相続財産の中にある場合には,その保守管理をする義務が出てきます。倒壊の可能性が高くなってきた場合には修理などをする必要が出てきます。

 次の順位の相続人がいる場合には,こうした負担の問題を避けるには早急に引継ぎをする必要が出てきます。連絡先などがわかればそこまで難しくはないでしょう。面倒なのは,次の順位の相続人がいない場合です。例えば,ご自身の親が無くなり,配偶者や亡くなった方の親は死亡していて他に相続人がいない倍を考えてみましょう。単純に考えるため,ご自身に兄弟はいないとします。この場合にご自身が相続放棄をすると次の順位の相続人はいなくなります。こうなると,引継ぎをする方はいないためにご自身が管理をする負担のみが残るということになりかねません。

 こうした場合に負担から逃れるためには,管理と清算を行う方の選任を請求する必要があります。相続財産管理人という方の選任を家庭裁判所に求めることになります(選任の申し立てを行うことになります)。この際には,予納金と呼ばれるお金(金額は家庭裁判所側で決める形になります)を収める必要が出てきますので,お金はかかるということになります。負担の継続という点とどちらをとるのかを考えて対応をしていく必要があります。

 亡くなった方に負債しかない場合にはこうした問題は出てきませんが,財産が何かしら存在する場合には,こうした問題と対応が必要になることには注意が必要です。こうした場合の相続放棄を行う場合には,この問題への対応も考えておく必要があるでしょう。

 

 

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