法律のいろは

スムーズな相続とするには?(その⑨~遺言書作成の際に気を付けるべきこと(7)~)

2013年7月10日 更新 

 前回、前々回と、遺言書作成の際に気を付けたい、内容面のことをお話ししています。

 今日もその続きです。

○ 遺言書に書かれている遺産以外の財産が判明したときのフォローを

  遺言書を作成したのがかなり前で、その間に別の財産を取得していたというケースが時折あります。不動産の新たな取得は多くないかもしれませんが、それでもその人自身の相続などで変動する可能性があります。預貯金なら新たな開設、あるいは株式の取得ならありうるでしょう。

  一番良いのは、一度遺言書を作ったら終わり、ではなく、定期的に見直しをすることだと思います。とはいえ、遺言書作成後に体調を崩し、遺言書を作成する能力に問題が出てくる場合も少なくありません。そういったときに備えて、もし遺言書に書かれている遺産以外の財産が出てきたとき、どのように分けるのか、きちんと書いておいた方がよいでしょう。

  できれば、不動産は●●、預貯金は△△、といった具合に財産の種類に応じて決めておくか(ただし,ここで預金金額を明示することは避けた方がいいでしょう。明示されていない部分はだれに渡すのか争いになるためです)・協議をして決めるようにするか・誰かが全て取得するのかを記載しておく形がいいでしょう。ただし,最後の方法はあまりに漏れが多い・漏れている財産に重要(金額が高い等)があった場合に遺産分割協議の有効性に影響を及ぼす可能性もあります。

 

○ 相続税を納める資金や税務対策への配慮を

  実際のところ、相続が発生してから相続税を納税しないといけない場合は多くはない(数パーセント程度)ようです。つまり、よほど資産がないと相続税の問題は生じないということになりますが,不動産や株式がある場合には生じる可能性はありえます。

  ただ、相続税法において,基礎控除がさがりました(以前は5000万円+(600万円×相続人数)であったのが,平成27年1月1日以降の相続について3000万円×(600万円×相続人数に変更になりました)ので,統計上も相続税の納税が必要になるケースが増えています。統計上は課税価格が上がっているという点も出ているようです。相続税がかかるか一度税理士さんとも相談をしてみるとよいと思います。配偶者については配偶者の税額軽減措置がありますので法定相続分を引き継ぐだけであれば相続税はかかりません。ただし,同じ世代の間で課税を繰り延べるだけという面もあり二次相続での税金が多くなる・その他の問題もありますので,課税むリスクの点の考慮も必要でしょう。もし相続税が発生する可能性があるようでしたら、どこから支払うのか・相続税の課税額が下がる特例を活用ができるのか(財産を多く生前に動かせるのかどうか・財産の評価額がどうなるのかなど)などを税理士の方と相談をしておく必要があります。相続税の納税が必要な場合にはその資金や不動産を売却しての納税という場合には,そこに所得税などが発生する可能性もあるので,あわせてどうするのかを考えておく必要もあります。生命保険を活用する場合には,非課税部分を使った納税資金その他のお金の準備になるという面もありますし,遺留分に対象に生命保険は基本的には考慮できない(ただし,多くの財産を一時払い保険料(一回払いという意味)で支払う場合には公平などの点から考慮されます)という面もあります。

 生前の対策は税務対策の側面がありますので,法務面のトラブル防止は重要(というよりも遺言作成は税務対策の面でとらえている方が多いように思われます)である点も考慮に入れた方がいいでしょう。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。